点眼薬に代わる新しい緑内障の治療法

SLT(選択的レーザー繊維柱帯形成術)について

繊維柱帯に照射することで房水の排出を促進するという治療方法になります。
繊維柱帯は房水を排泄するフィルターのような役割があります。
ここが目詰まりを起こし、眼圧コントロールが上手くいかないのではと言われてきました。

繊維柱帯を破壊し、房水の流出を促すというALT(アルゴンレーザー線維柱帯形術)という治療法が古くからあります。

エアコンの性能が落ちればフィルター掃除をするように、レーザーで繊維柱帯の目詰まりを掃除し、解消することによって、房水の排出を促し、眼圧を下げるという方法です。

しかしALTには、効果が一時的である事が多いうえ、線維柱帯を破壊してしまい、一度しか照射出来ないという欠点がありました。
(治療法としては認められているのですが、その大きな欠点の為、当院では導入しておりません。)

今回導入したSLT(選択的レーザー繊維柱帯形成術)では、その最大の欠点である組織破壊を伴わないため(色素細胞だけを標的とする)、
何度も再照射出来るようになりました。
一度の照射で効果は2年~3年続きます。

合併症のリスクも非常に少なく、副作用もまずない(非常に低エネルギーの短パルスの為)とされています。
すべての人に効くということはありませんが、70%の方に有効です。
ALTと違い繰り返し治療が可能で非常に有効な治療法となります。

点眼薬では、さし忘れ時などに症状が悪化するといわれていますが、このレーザーは一度照射すると、2年~3年続きます。
この為、点眼薬に代わる緑内障治療の第一選択枝の地位となりつつありますが、器機が非常に高く(ベンツの新車が買えるほどの値段です。)、多くの施設で導入が出来ないでいます。

西原眼科では、導入以来、宣伝してこなかったにも関わらず、遠方からも問い合わせが来るような状況です。
唯一の欠点は、保険適応されているにも関わらず、窓口負担額が大きいということです。

1割負担のかた 片眼:約9000円
3割負担のかた 片眼:約26000円

※手術となりますので各種生命保険が利用出来る場合があります。詳しくはご加入の保険会社に御確認下さい。

緑内障とは?

緑内障は、現在日本人の中途失明原因の第1位であり、40 歳以上の20人に1人の割合で患者様がいるとされています。 緑内障になると自覚症状のないまま緩やかに視野欠損が進行 し、自覚症状が現れた時にはすでに相当進行している場合が ほとんどです。

治療の基本は眼圧を下げること

緑内障は視神経が弱って視野が狭くなる病気です。眼圧が高 く神経が傷んでいく場合と眼圧が正常ですがもともと視神経が弱く傷んでいく場合があります。いったん障害を受けた部分は二度と元には戻りません。そのため緑内障の基本治療は視神経が傷まない水準まで、眼圧を下げることになります。

緑内障は一生管理が必要です

緑内障は治療を行えば治るという病気ではありません。高血圧と同様にあなたに合った目標眼圧を定め、薬(点眼・内服)、 レーザー治療、手術などを用いてこれ以上進行しないように 治療することが必要です。従って必ず定期的に眼科を受診 し、一生管理していくことが非常に大事になります。

緑内障の原因

眼内の房水は、角膜と水晶体の健康を保つために、たえずバランスのとれた速度で産生・排出されて います。この排出が障害されると、視神経が弱って、開放隅角緑内障(もっとも多くみられる緑内障のタイプ)を発症します。

解決法

SLTでは、低エネルギー光の短いパルスを、眼の特定細胞内にあるメラ ニンに照射します。この処置によって体内の自然治癒反応が引き起こされ、これらの 細胞の再建に向けて働きます。この再建プロセスは房水の排出 障害を改善し、眼圧を低下させます。

第1選択治療としてSLTを選んだ場合の メリット

1回のレーザー治療で2~3年間の効果が持続しますので、点眼治療のような紛らわしさはありません。 また、2~3回繰り返し治療が可能なため、しばらくの間点眼 なしで管理できる可能性があります。ただし、効果に個人差 がありますので、レーザー治療後に十分な眼圧下降効果が認められなければ点眼治療など別の治療を追加する必要があります。

西原眼科 結膜炎 緑内障 白内障 アレルギー性結膜炎・花粉症 眼精疲労・ドライアイ・スマホ老眼

レーザー治療のSLTについて Q&A

Q. SLTに痛みは伴いますか?

A. いいえ。痛みはありません。(個人差あり)

Q. SLTの治療時間はどのくらいですか?

A. 患者様の症状や治療範囲によって異なりますが、通常~10分程度で終了します。

Q. SLTは入院が必要ですか?

A. 通院で行いますので入院は不要です。

Q. SLTで効果がなかったらどうすればよいですか?

A. SLTを治療の第一選択にした場合、高い確率で効果が期待できます。しかし、第二、第三選択の治療の場合、 有用である確率は低下します。中には効果のあまりない方もいます。その場合、点眼を更に追加したり、手術を 考慮します。

緑内障治療手順

第一選択治療における点眼とSLTの比較

名称 点眼 SLT
治療方法
治療方法、毎日決まった時間に点眼を行う 治療前に点眼麻酔をし、専用のレンズを使用し レーザーを照射する
費用(3割負担) 点眼薬 2年間」 (3割負担)」 36,000~72,000円 レーザー治療代
54,000円前後(両眼)
長所 ・手軽に始められる
・一回の診察代が安い
・保険適応
・非侵襲的方法であるため繰返し治療可能
・就寝時間帯眼圧変動の抑制が期待できる。
・一回の治療で2~3年 間効果が期待できる (個人差あり)
・毎日点眼の煩わしさがない
・保険適応
短所  ・毎日の点眼が面倒
点眼薬によるアレルギーが生じる場合がある
 ・一回の施術費用が高い
・全ての方に選択可能な治療ではない
副作用 ・結膜充血
・眼瞼色素沈着
・睫毛多毛
・ 上眼瞼のくぼみ
・心不全
・呼吸困難(喘息の方は 禁忌)
・妊娠中、授乳中の方へ の使用は安全性が 確立されていない」
・結膜充血
・かすみ
・重圧感
・眼圧上昇
(上記全て一過性のもの)
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